宇部市中央町地区の駐車場利用状況を調べてみました。

2017年度から2018年度にかけて、中央町エリアの駐車場の利用状況を調査しましたので、その内容を紹介したいと思います。

中央町を上からみた航空写真です。このように中央町の約3割ほどが、駐車場等で使われています。そこから、私たちは、中央町の駐車場はどの位の総量をもって、どの位利用されているかを調べることにしました。

 

2017 年度には、中央町エリアの駐車場の現況と時間別の稼働率の調査を行いました。また、2018年度には、その調査結果を基に、統計分析・考察を行った。その結果を以下により紹介します。

 

2017 年度には、宇部市の中心市街地の駐車場の利用状況を明らかにするために、中央町エリアの駐車場の現況と時間別の稼働率の調査を行いました。

 

現地調査によると、2017年時点で中央町(1 丁目・2 丁目・3 丁目)の駐車場総量は、100 敷地・1596 台(①コインパーキング総量10 敷地・331台、②客用駐車場総量7 敷地・115 台、③月極駐車場総量83 敷地・1150 台)でした。

 

時間別の稼働率を調査するため、平日(2017 年10 月16 日(月))と休日(10 月21 日(土))の朝8時~夜19 時までの、11 時間における各敷地の駐車台数の変化を整理しました。

※具体的な各敷地の駐車台数の変化マップは、2017 年度実績報告書(研究期間:2017 年7 月1 日~3 月31 日)を参照してください。

 

 

全体駐車場の総量からみると、週末にしてもピーク時間帯の19 時の稼働率が44.7%に止まっており、5 割を下回っていることがわかります。つまり、約3,000 坪(約12 ㎡(駐車場の1 台面積)×800 台=約96,000 ㎡)がピークの時間帯でもあまり使われていないことでしょう。無論、総量には月極駐車場等が含まれています。

 

コインパーキングに絞った場合、週末ピーク時の稼働率は56.7%でした。特に17 時以前は15%を下回っていることがわかります。上の図を参照してください。このように中心市街地の空洞化現象により生まれてきた地上駐車場の稼働率は、6 割を下回る結果となっています。(あくまで2017年の10月の結果であり、現時点での現況と異なる可能性はございますので、ご注意ください。)

 

まちなかの再生や公共空間の利用促進のためには、残りの3~4 割である使われていない空間に対する人々のアクティビティが発生する機能が求められています。例えば、地元の市場やマルシェなど時間帯に応じた駐車スペースの別用途への利活用や、長期的には土地の活用促進に向けた取り組み等が必要でしょう。

 

2018 年度では、宇部市中央町エリアに存在する100 敷地別の時間帯利用状況データを基に、統計分析(数量化3類分析)を行いました。その結果、4 つの特性軸(1 軸:平日昼間稼働指向、2 軸:週末昼間稼働指向、3 軸:夜間稼働指向、4 軸:朝時間帯稼働指向)が明らかとなりました。その特性軸を基に、各駐車場の指向性の分布図を以下の通りに作成しました。色が濃いほどその軸の指向性が強いことを意味します。

 

 

上記の特性軸から得られた主成分得点を基に、100 敷地の類型化を行った。その結果、4つの類型(GA(59):一般型、GB(12):夜間利用集中型、GC(16):週末利用 集中型、GD(13):平日利用集中型)に分類することができ、類型別の地域分布図を作成し、類型別の特徴を明らかにしました。

 

Group A は、59 敷地があり、「一般型」と解釈しました。全体の特性軸がマイナス(-)指向にあり、コインパーキングの全体数10 箇所の内、7 箇所と最も多く属していることも特徴です。駐車台数の規模は、平均台数19.2 台と、4 つのグループの中、最も大きいです。このことからこのGroup A は、中央町全体に広がっており、飲み屋街に位置している大規模コインパーキングが集積していることがわかります。

 

Group B は、12 敷地が属しており、「夜間利用集中型」と判断しました。3 軸(夜間稼働指向)が1.678 と強いプラス(+)傾向にあり、平均駐車台数は、10 台と4 つのグループの中、最も小さく、小規模の月極駐車場が比較的多い(11 箇所)。また、類型の分布図から飲み屋街に集積していることが特徴です。

 

Group C は、16 敷地が属しており、「週末利用集中型」と判断しました。2 軸(週末昼間稼働指向、1.128)と4 軸(朝時間帯稼働指向、1.333)が強いプラス(+)傾向にあることが特徴であり、Group B と同じく、小規模の月極駐車場が15 箇所と多いですが、飲み屋街ではなく、中央町地区の内側の狭い道路上に集積していることが異なります。

 

Group D は、13 敷地が属しており、「平日利用集中型」と解釈しました。1 軸(平日夜間稼働指向)が、1.772 と最も強いプラス(+)傾向にあることが特徴であり、飲み屋街に位置している一つのコインパーキング等、中央町の外側に位置しているコインパーキングが属していることも特徴であるといえます。

 

以上のことから、飲み屋街としての特徴を持った宇部市中央町エリアですが、意外と週末と夜間にコインパーキングの駐車稼働率が高くない理由としては、車なしで来られる方が多いこともありますが、中央町の内側かつ狭い道路に位置する小規模の月極駐車場等を利用している方々が非常に多いことが、Group BとGroup Cの特徴から読み取れるでしょう。

 

上記のように、2年間にかけて駐車場調査と分析を行いましたが、中央町の駐車場利用状況と特性を踏まえ、今後の駐車場の有効利用や再編計画等、今後のまちづくりにお役に立てればと思います!